2023年1月26日(木)から27日(金)の2日間にかけて、一般社団法人カーボンリサイクルファンド(CRF)の案内の下、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機(NEDO)が実施する広島県大崎上島の大崎発電所内IGCC実証試験発電所(大崎クールジェン)及びカーボンリサイクル実証研究拠点、福岡県北九州市の電源開発(株)若松研究所を訪問しました。訪問では、最新施設や技術の紹介を受けるだけでなく、カーボンニュートラルへ向けた意見交換も行いました。
初日は、大崎上島のIGCC実証試験発電所とカーボンリサイクル実証研究拠点を訪問しました。大崎上島へは、竹原港(広島県竹原市)からフェリーで約30分、竹原市から大崎上島へ通勤・通学される方も多く見受けられました。
大崎発電所では、NEDOの支援を受けて大崎クールジェン㈱が実施する石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証設備を見学しました。IGFCは、発電前に石炭をガス化させた上で、ガスタービンと排熱を利用した蒸気タービン、さらには石炭をガス化させた際に生じる水素を利用した燃料電池で発電します。さらにCO2を分離・回収しCCUS/カーボンリサイクルと組み合わせることで、CO2排出量を大幅に抑えることが可能です。
続いて、IGCC実証試験発電所に併設されているカーボンリサイクル拠点を見学しました。今回の見学では、一般財団法人石油フロンティア機構(JCOAL)による案内の下、実際に拠点内で研究している様子も拝見できました。具体的には、CO2から尿素を生成する研究、CO2有効利用コンクリートの研究、Gas-to-Lipidsバイオプロセス(CO2と水素から化学品や燃料を製造するプロセス)の研究を紹介していただきました。さらに、日本微細藻類技術協会(IMAT)による持続可能な航空燃料(SAF)の研究も紹介していただきました。
2日目は、福岡県北九州市の電源開発(株)若松研究所を訪問しました。大崎クールジェンプロジェクトの前身であるイーグルプロジェクトの設備や、ブルーカーボンが期待できる藻類が繁茂しやすい低CO2素材で製作した消波ブロック、NEDO事業による微細藻類を用いたグリーンオイル生産技術開発の様子を見学しました。見学後、有村所長とカーボンプライシングの制度設計やカーボンクレジットに関して活発な議論が行われました。
訪問した2日間は風も強く、非常に寒かったのですが、万全の防寒対策の上で丁寧に説明をしてくださいました。訪問を快く受け入れてくださった大崎クールジェンと若松研究所のみなさま、訪問を企画してくださったカーボンリサイクルファンドのみなさま、まことにありがとうございました。